痛くならない中耳炎もあります

西城耳鼻咽喉科・アレルギー科 院長 西城隆一郎

 

痛くならない中耳炎があることをご存知でしたか。

普通中耳炎というと痛くなったり、熱が出るものと思われがちですが、痛くならない滲出性中耳炎(しんしゅつせいちゅうじえん)という中耳炎があります。

 

痛くなる中耳炎は急性中耳炎といって鼓膜の奥の中耳に強い炎症が起こる中耳炎です。鼓膜が腫れて赤くなります。発熱や痛み(乳幼児は機嫌が悪いなど)を訴えますので気づきやすい病気です。

 

しかし、滲出性中耳炎は痛くなく熱も出ないため、ご両親さんが気づかず、学校検診などで指摘され始めて気づくケースもあります。あまり長く放置すると鼓膜が薄くなったり難聴が治らなくなることがあるので注意が必要です。

 

まず滲出性中耳炎という病気があることを知ってください。そして、鼻づまりや鼻みずがあって「なんとなく耳を気にしている」「呼んでも返事をしない」「聞き返しが多い」「テレビの音が大きい」などの症状があれば耳鼻科の先生に相談してください。

 

・・・・病気の説明・・・・

(滲出性中耳炎)

鼓膜の内側の中耳という部分に、滲出液(水)がたまる病気です。鼻が悪いとかかりやすくなります。滲出性中耳炎は長期化しやすく、治るまでに数か月から数年かかることもあります。よくなったり悪くなったりをくり返す傾向があるので、症状がよくなったからといって途中で放置せずに、医師の指示にしたがって、きちんと通院することが大切です。

 

(症状)

熱や痛みはないのですが、耳がつまった感じがして、聞こえが悪くなります。耳を気にしている、呼んでも返事をしない、聞き返しが多い、テレビの音が大きい、などの症状があれば滲出性中耳炎の可能性があります。また、片耳だけの滲出性中耳炎ですと症状が目立たない場合があります。

 

(原因)

鼻炎や副鼻腔炎、アデノイド増殖症などに引き続き、耳管(耳と鼻の奥をつないでいる管)の機能障害が起こることが原因です。

 

(治療)

薬を処方したり、鼻の治療を行います。また、耳管の機能を改善させるために耳管通気(鼻から中耳に空気を通す処置)を行うこともあります。難治性で滲出液が多く、聞こえが悪い場合には、鼓膜切開を行う場合があります。鼓膜に小さな穴をあけて、中耳の滲出液をぬいてあげる処置ですが、ほとんどの場合、傷は3〜7日ほどで傷は自然にふさがります。鼓膜切開をすると、直後からよく聞こえるようになり、術後の痛みもほとんどありません。また、切開しても再発をくり返す場合には、鼓膜に直径1mm程度のごく小さいチューブを数か月間〜数年間、挿入しておくこともあります。

 

 

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